日本では、みんなが公的な医療保険に加入しています。おかげで、病気やケガをしても医療費の一部を払えば治療を受けられます。このように、国民全員が公的医療保険で守られているしくみを「国民皆保険制度（こくみんかいほけんせいど）」といいます。
国民皆保険は、日本の社会保険制度の大きな特徴のひとつです。日本に住むみんなに関わる大切な制度なので、この記事を読んでしくみを知っていきましょう。
国民皆保険はどんな制度？
国民皆保険制度とは、原則として日本に住むすべての人が、公的医療保険に加入するしくみのことです。
公的医療保険には、大きく分けると3種類あります。
上の図のように、自営業者などは「国民健康保険」、会社員などは「被用者保険」、75歳以上の人は「後期高齢者医療制度」に加入します。さらに、被用者保険は勤め先によって「協会けんぽ」「組合健保」「共済組合」に分かれます。
保険に加入している人は、保険の種類ごとに決まった保険料を毎月支払います。だから、病気やケガで診察を受けたり薬を処方してもらったりしたときは、医療機関の窓口で保険証を提示すれば、費用の1～3割を負担するだけで済みます。
どの保険に加入していても、同じ治療には同じ費用がかかり、全国どこでも平等に医療が受けられるようになっています。
このように国民皆保険制度があるおかげで、みんなが少ない負担で安心して医療を受けることができるのです。
もしも国民皆保険制度がなかったらどうなる？
国民皆保険制度がなければ、どのようなことが起こるでしょうか。
たとえば、公的医療保険に入っている人と入っていない人がいるとします。保険に入っていない人は、医療を受けるときにかかる費用の全額を自分で負担しなくてはなりません。
そうなると、今よりも医療費によって家計に大きな負担がかかります。医療費が高くて払えず、必要な治療を受けられない人が出てくるかもしれません。
つまり、所得によって医療を受けられる人と受けられない人との差が出てしまう、ということです。
また、日本では全国どの病院でも、みんな同じように診察や治療を受けられますが、国によって医療保険のしくみは異なります。
国によっては、公的医療保険が国民全員を対象にしていなかったり、医療機関を自由に選べなかったりします。医療機関によってかかる費用が違ったり、保険がきかず高い医療費を払わなければならなかったりすることもあります。
このように、日本の国民皆保険制度は国民みんなにやさしく、世界的に見ても恵まれた制度だと言えます。
まとめ
日本には、みんなの医療が保障されている国民皆保険のしくみがあることがわかりましたね。
最後に、なぜ日本では少ない窓口負担で医療を受けられるのでしょうか。これは、保険料と税金で制度が支えられているからです。
誰でも、いつでも医療を受けられますが、医療を受ける人が増えれば、当然、必要な費用も多くなります。高齢化が進むと医療を必要とする人が増える一方で、少子化によって保険料を払って制度を支える人は減っていきます。
えみ先生みんなが制度に関心を持って、制度を持続させるにはどうすればよいかを考えていく必要があるのです。
